おぼえがき
JFS-C
2019-01-05
HACCPが義務化されることになりました。大手企業ではいち早く米国発や欧州発の国際認証を取得して対処済みなようですが、すでに規定のある特定分野を除いて、一般的な業種に対してはどのような機関が認証してくれるのでしょう。とりわけ味噌醤油など日本独自の発酵食品に関してはどのような基準がふさわしいのでしょうか。このような観点を踏まえ、このたび官民挙げての取組みの結果、待望の日本発の規格(JFS)が誕生しました。この規格の特徴はA・B・Cの段階付けをすることで規模や商目的に応じた選択が可能であることと、何よりC規格については欧米発の国際認証規格に伍することです。
協業工場ではHACCPへの取組みから三年、平成30年1月にJFS―C規格の認証を受けられました。その後同年10月にはC規格がGFSIから国際規格として認証され、輸出に大きな力を得ることとなりました。
HACCPシステム(その二)
2018-12-18
醤油業界でも本来のハサップ対応を検討し始めましたが、第一の見解としては「醤油製造にCCPはない」というものでした。工程・行程管理の上に立って、一般的衛生管理で十分という認識です。実際、醤油が原因で起きた食品事故は皆無と言われており、製造物責任に対するPL保険の料率も異常に低く設定されていることからもわかります。
ただ昨今は「だしつゆ」等の醤油加工品の製造が増えていますし、低塩醤油のような特殊製品もありますので必要がないわけではありません。協業工場という位置づけから念には念を入れた危害分析を行うこととしました。
危害要因は1生物的2化学的3物理的の三つに分けられます。有機JAS認証取得に共通するところも多々ありましたので割とスムーズに進行できたようです。仕上がったHACCPプランは品質安定とヒスタミン対策に主眼を置いたものになりました。
HACCPシステム(その一)
2018-12-18
壁と宇宙服。ハセップと聞くときにまず思い浮かぶのがこのことではないでしょうか。汚染防止の一般的衛生管理に加えて汚染排除を達成するために危害分析重要管理点を重点的に管理する方法です。わが国では乳製品・食肉製品などが認証対象になっています。
なるほどこうした製造現場では極限までの衛生管理が求められ、多額の費用が掛かる仕組みであると曲解されて認識されることになりました。和セップと呼ばれる所以です。
協業工場でも輸出対応の観点からHACCPシステムの導入を迫られ、平成27年4月から取組みを始めました。まずは誤認からの解放です。本来の仕組みが目指すところを正しく理解すること。その上でチームの編成・フローダイアグラムの作成等準備段階を経て危害分析・重要管理点(CCP)の決定へと進んでゆくのですがここで疑問が生じます。
しょうゆにはCCPがあるのかしら?
5S活動
2018-12-05
協業工場では作業環境の改善は日常的に行われており、基本である整理・整頓・清掃の3Sとそれを定着させる清潔・習慣づけの2Sが機能して現場保守レベルは伝統的に秀逸であると思われてきましたので、5S活動への取り組みには懐疑的ですらありました。
ところが有機JAS認証の取得を目指し、行程と重要管理点の検証を進めてゆくと、どうやらそれは少々怪しいもののようでした。
平成23年7月からコンサルタントの指導の下、部門別チームを編成し、テーマを掲げ、5Sシートを仕上げてその成果を発表する、これを繰返し実施したところ格段に3Sのレベルアップが達成されました。隅々まで目が届くようになったことは、同一ラインを使用する有機醤油製造にかかわるコンタミ防止に威力を発揮しています。2Sも継続です。
5Sは始まりでもあり終わりでもある。
老いも若きも5Sでブラッシュアップ!
木槽とジュール熱による短期発酵
2018-11-28
木桶醸造の長所は断熱効果による緩やかな温度変化と呼吸することでふくらみが出ることでしょう。ところが木桶による天然発酵は一年半から2年間と時間がかかるところに短所があるとも言えます。本物(プレミアム)志向とこれからの木桶礼賛ブームに応えようとするに当たり先の短所を克服することが課題となりましたが、幸い産学連携による実験で判明した方法があり、実用化に繋げるべく協業工場では平成24年度補正予算による「ものづくり事業補助金制度」募集に応募し、標題が採択され実現の運びとなりました。
「ジュール熱」とは、導体内を電流が流れるとき電気抵抗によってその導体内に発生する熱のことを指します。そしてこれを発生させるためには抵抗と断電性容器が必要です。
塩分を含む「醤油もろみ」と「木槽」がこの条件に適っており、その特性上均質な加温が短期発酵を可能にしてくれたのです。